井の中の蛙

「井の中の蛙大海を知らず」

意味:自分の狭い知識や考えにとらわれて、他の広い世界のあることを知らないで得々としているさまをいう。井蛙(せいあ)。

出典:小学館 デジタル大辞泉

 

 曲がりなりにも作品を執筆していると、上記のことわざをよく思い浮かべます。なぜなら、この考え方が創作においては非常に重要な心掛けになり得るからです。まあ、批判的な意味で使われることが多いので、他人から言われて素直に喜べるものではありませんけどね。ここ、笑うところです。

 今回の日記には、このことわざから意識したいことをまとめようと思います。これから小説やイラスト、作曲などの創作に取り組もうと思っている人、すでに取り組んでいる人を対象に、私にとっては身分不相応な話かもしれませんが、最後まで読んでいただけると幸いです。

 

創作は競争ではない

 人生そのものにも言えることですが、創作の分野では特にこの考え方が大切だと思っています。私は作品執筆に四苦八苦しているのが常ですが、創作の好きなところとして各個人が価値を置けることにあります。突き詰めると、その人にしか創れない作品があるはずとの持論です。

 タイトルの「井の中の蛙」とは、そもそも創作に、延いては人生の幸福に大海の存在は必ずしも必要ないということ。狭い見識や知識に囚われ続けても、自分の居心地の良い環境の中で物事を突き詰めることが最良であるとの見方です。

 私がこのようにブログで日々の考えを綴っているのも大海を知っているとなかなかできません。それはすでに議論し尽くされた考えをも、また新しいものとして扱う無駄な面がどうしても存在するからです。

 創作はルートもゴールも自由なので、再現性に乏しい性質があります。こういう考え方でやっていると上手くいくというのも、自分に置き換えてみたらそうでもなかったということがよくあります。ではどうするか?というと、自分自身の考えを確立する必要があります。自分の考えで取捨選択し、物語を創っていく、言葉を紡いでいく。そういう時こそ、誰にも邪魔されない空間を基礎としたい。それが「井の中」ということですね。

 正直、私はSNSが苦手ですが、このブログだからこそ自分自身を出せている面があります。以前、ブログを始めて欲しい理由という日記も書きましたが、ブログでは自分自身の思考を健やかに伸ばせている、いわば自宅のような安心感があります。決して「井の中」をネット上に置く必要はありませんけどね。

 

井の中の蛙大海を知らずの先

 実はこのことわざには続きがあります。もともと中国の故事成語でしたが、日本に伝わった際に新しい一文が加えられたとか。

 それが「されど、空の青さを知る」です。

 狭い世界にいたのなら、その分だけその世界の細かなことを知っているということですね。

 創作の本質は、ただただ自分の好きなこと、おもしろいことを追求して形にすることであり、作品と偶然出会った人々がそれを気に入ればなお良しくらいのものだと思っています。

 井の中の蛙でありたいというのは自己満足の究極の形で、ともすれば気持ち悪いと蔑まれることもあるかもしれません。しかし、大海の中に身を置けば置くほど、自分自身が薄まっていくような感覚が創作をやっている人にはあるんじゃないかなと思うんですよね。私の場合、様々な価値観や見方が混在している環境で、自分自身を保つことは大変。

 こうした創作的思考とも言えるものは、人生単位で見ても役に立つものはあります。それは「井の中」という自己定義(幸せ)の重要性と、その中で促される成長力。好きこそものの上手なれ、というのはまさにその通りで、結局、人間のパフォーマンスを最大化するものは「好き」とか「楽しい」という気持ちだと思います。

 それにもしかすると、半分くらいの人が「大海を知って井の中を見失う」そんな状態に陥っているかもわかりません。創作に触れたことがなければ、自分らしいとか、自分にしかできないとか、そういったアイデンティティを強く意識することは少ないのですが、実際に人生を豊かにできる考え方が創作には詰まっている気がします。

 

まとめ

 創作は、まず自分自身の感性に価値があることを認めます。このスタートが本当に良いところ。誰もが価値あるものを創造できる。

 できるだけその人の持つ感性を良い意味で伸ばして、その人にしか表現できない作品に辿り着いて欲しい。そのために井の中を見つけ、物事を好きになれれば最高です。無償で受け入れてくれる家族や友人、恋人の存在にも感謝の気持ちが芽生えますし、この循環の中で過ごせる時間を作品への力に転換して欲しいと思います。

 優秀過ぎて突き抜けている人にとっては、社会全体が井の中と言えるほどの結果になるのですが、これから芽を出していく、あるいは打ちひしがれた老若男女にとって自分を確立できる、守ってくれる空間はとても貴重なものです。

 ものすごい雑なまとめ方をすると、何だかんだ愛が社会を温かくするというポエムのような締めになってしまいました。